うつ病の人がとる行動や表情に特徴はある?家庭や恋愛でのチェックポイント
うつ病の人がとる行動には、特徴的なパターンが見られます。例えば、会話が減ったり、感情の起伏が激しくなったりするほか、身だしなみに気を使わなくなることなどです。
これはあくまで代表的な例であり、ほかにもうつ病の人がとることが多い特徴もあるため、周囲の人がそれを把握し、変化に気を配る必要があるでしょう。
この記事では、家庭や職場、恋愛関係などで見られるうつ病の行動や表情の特徴、ほかの病気との違いなどについて紹介します。
自分や周囲の人がうつ病かもしれないと感じた時の参考になさってください。
うつ病の人がとる代表的な行動
うつ病になると、日常生活の中でさまざまな変化が現れ、行動面でもうつ病の人に多く見られる行動が見られるようになります。
ここでは、うつ病の人に見られる代表的な行動の変化について紹介します。
コミュニケーションに問題が出る
うつ病の人は、他者との会話が億劫になり、コミュニケーションが減少することがあります。
以前は社交的だった人でも、会話の頻度が減り、返事が遅くなったり、単調な受け答えが増えたりすることが特徴です。会話の内容も悲観的になりやすく、ネガティブな発言が増えることもあります。
親しい人とのやり取りを避ける傾向も見られるため、突然連絡が減るようなら注意が必要です。
感情の起伏が激しい
うつ病になると感情のコントロールが難しくなり、些細なことで涙が出たり、怒りっぽくなったりすることがあります。
特に、ストレスがかかる状況では過剰に反応しやすくなり、自分でも制御できなくなることが特徴です。
また、周囲から見ると、突然不機嫌になったり、反対に急に明るく振る舞うように見えるケースもあります。
自宅へ閉じこもるようになる
うつ病の人は外出する気力が低下し、家に閉じこもることが多くなります。
特に、仕事や学校以外の予定を入れなくなり、休日はほとんど外出しなくなる人も少なくありません。
以前は外での活動を楽しんでいた人でも、次第に興味を失い、誘いを断ることが増えるでしょう。また、買い物や散歩などの簡単な外出すら避けるようになる場合もあります。
身だしなみに気を使わなくなる
服装や髪型など、身だしなみに対する意識が低下することも、うつ病に見られる状態のひとつです。
毎日の習慣だったスキンケアやメイクをしなくなったり、髪を整えずに過ごすことが増えたりします。
また、服装に無頓着になり、しわや汚れのある服をそのまま着ることもあります。これは、外見に対する関心が薄れ、日常のルーティンをこなす気力が低下しているために起こるものです。
飲酒・喫煙などに依存しやすい
気分の落ち込みを紛らわすために、アルコールやタバコの摂取量が増えることがあります。
アルコールは一時的に気分を和らげるため、飲酒の頻度や量が増えやすくなります。喫煙習慣がある人は本数が増えたり、喫煙習慣がなかった人は新たに喫煙を始めたりすることもあります。
こうした習慣が続くと、依存度が高まり、健康を損なうリスクが高まるため注意が必要です。
遅刻・欠勤の増加
仕事や学校への意欲が低下し、遅刻や欠勤が増えるようになります。朝起きるのが辛くなり、決まった時間に行動するのが難しくなるためです。
業務の締め切りを守れなくなったり、ミスが増えることもあります。失敗が続くと自己否定が強まり、さらに落ち込む悪循環に陥ることも少なくありません。
睡眠に問題が出る
睡眠の質が悪くなり、不眠や過眠の症状が出ます。
夜中に何度も目が覚める、寝つきが悪い、朝早く目覚めるなどの変化が続くと、疲れが取れず、日中の活動に悪影響が出ることも多いです。
反対に、長時間眠っても疲れが抜けず、昼間に強い眠気を感じる場合もあります。睡眠に問題が生じ、生活リズムが乱れると、さらに心身の負担が大きくなるため注意が必要です。
朝起きられない
布団から出ることが難しくなり、朝の準備に時間がかかるようになります。倦怠感が強く、何時間眠っても回復しないと感じることが多いでしょう。
結果として、遅刻や欠勤が増え、社会生活に影響が出やすくなります。
特に週明けの朝に起きるのが辛い場合は、仕事や学校に対するストレスの影響が大きい可能性があります。
自分を傷付けてしまう
強い自己否定やストレスの影響で、リストカットや髪を抜く、壁に頭を打ちつけるなど自傷行為をしてしまう人もいます。
痛みを感じることで精神的な苦しさを紛らわせようとしているといった理由が考えられますが、心身に重大なダメージを負ってしまう恐れもあるため、可能な限り周囲が気付き、対策をとりましょう。
食欲不振
食事への関心が薄れ、食べる量が減少します。空腹を感じにくくなり、食事を抜くことが増える場合もあります。
食事の回数が減ると体力が低下し、倦怠感や無気力が強まるケースも少なくありません。
栄養が不足すると体調にも影響が出やすく、健康を害する恐れもあります。食欲の変化は見過ごされることも多いため、注意深く観察する必要があるでしょう。
家庭で注目するべきうつ病の行動
一緒に過ごす時間が長い家族は、うつ病の兆候に気付きやすいかもしれません。特に、日常生活の些細な変化が重要なサインとなることもあります。
ここでは、家庭内で見られるうつ病の行動に注目して、具体的な変化について紹介します。
会話の減少
うつ病の影響で家族との会話が減り、以前よりも話す機会が少なくなることがあります。
日常的に会話をしていた人でも、返事が短くなり、積極的に話そうとしなくなることが特徴です。
気持ちを言葉にすることが難しくなり、会話そのものが負担に感じられる場合もあります。家族が話しかけても「大丈夫」「別に」といった短い返答が増え、深い話を避けるようになることも多いです。
このような状態が続くと、周囲との距離が生まれ、孤立しやすくなります。
イライラしやすくなった、怒りっぽくなった
ささいな出来事にも過敏に反応し、怒りっぽくなることがあります。
以前は気にしなかったことにも苛立ちを覚え、家族に対して強い口調で話す場面が増えることがあれば要注意です。
自分でも感情を抑えられず、突然怒りを爆発させることがあるため、家族としては戸惑うことが多くなるでしょう。
本人も感情の乱れを抑えようとしますが、コントロールできないことで自己嫌悪に陥ることがあります。
月曜朝や仕事前の不調
特に仕事が始まる直前に体調が悪化しやすくなります。月曜日の朝になると極度の倦怠感を訴えたり、吐き気や頭痛が出たりすることも多いです。
仕事や学校に対するストレスが原因で、心と体の両方に負担がかかることが原因だと考えられます。
家族がこうした変化に気付いた際には、無理に出勤や登校を促すのではなく、本人の状態を慎重に見守ることも大切です。
恋愛関係で見られる行動
うつ病になると、人間関係に大きな変化が生じることがあり、恋愛関係も例外ではありません。
パートナーとの距離が広がったり、以前とは違う反応を示す可能性があります。
ここでは、恋愛関係で見られるうつ病の特徴的な行動を紹介します。
連絡が減る
うつ病の影響で、恋人とのやり取りが少なくなることがあります。メッセージや電話の返信が遅くなったり、短い返事が増えたりすることが特徴です。
会話をする気力が湧かず、連絡自体が負担に感じられる場合もあります。
以前は積極的に連絡を取っていた人でも、返信を後回しにするようになり、そのまま返さなくなることもあるでしょう。
無理に会話を続けようとするとさらにストレスを感じ、ますます距離を置くことにつながる可能性があるため、兆候を感じたら注意が必要です。
性欲の減退
うつ病によって性欲が低下し、スキンシップを避けるようになることがあります。
パートナーに触れられるのを嫌がったり、積極的に関わったりしないといった変化が代表的です。
精神的な疲労が続くと、身体的な欲求も減退し、恋愛への関心自体が薄れてしまうことも少なくありません。
以前は楽しんでいた時間が苦痛に感じられる時もあり、無理に関係を維持しようとすると逆効果になる可能性があります。
表情にも現れるうつ病の状態
うつ病になると、行動だけでなく表情にも特徴的な変化が現れます。顔の動きが少なくなったり、感情が読み取りにくくなったりすることも多いです。
ここでは、うつ病の人に見られる表情の変化について紹介します。
無表情・無気力
うつ病の影響で、表情の動きが減り、無表情になることが多くなります。顔の筋肉がこわばり、感情が乏しく見えるため、話していても活気が感じられなくなるでしょう。
周囲が冗談を言っても反応が薄く、興味や関心が失われているように見えることが特徴です。
以前は笑顔が多かった人でも、表情の変化が乏しくなり、目の輝きが失われる場合があります。
何かを楽しむ余裕がなくなり、日常の刺激に対して無関心な状態が続くと、さらに悪化する可能性もあるため、気付いた周囲の人は注意してみてください。
作り笑い
うつ病の人は無理に笑顔を作ることがあります。周囲の人に心配をかけたくない、気分が落ち込んでいることを知られたくないなどの理由が多いです。
しかし、その笑顔には力がなく、不自然に見えやすいでしょう。口角は上がっていても目が笑っていない、すぐに真顔に戻るといった特徴が見られます。
会話の途中で急に表情が暗くなることもあり、内心では疲労やストレスを感じている可能性が高いです。
周囲との関係を維持しようと努力している場合でも、表情がぎこちなくなり、本心が伝わりにくくなることがあります。
顔色が優れない
うつ病が進行すると、自律神経の乱れや睡眠不足の影響で、顔色が悪くなることがあります。
血行が悪くなり、青白い肌やくすんだ顔色が目立つようになるでしょう。
また、疲労が蓄積すると、目の下にクマができやすくなり、全体的に疲れた印象を与えることもあります。
体調不良と混同されることもありますが、長期間にわたって顔色が改善されない場合、精神的な不調が関係している可能性があります。
悲しそう、泣き出しそう
ふとした瞬間に悲しそうな表情を見せることがあるのも、うつ病の人の特徴です。涙をこらえているような表情や、声が震える場面も見られるでしょう。
特に会話中に視線を落としたり、ため息が増えたりする場合、気持ちが沈んでいる可能性が高いです。
普段は感情を抑えていても、些細なきっかけで涙がこぼれることがあり、周囲の人が驚くシーンもあります。
このような状態は本人が意識してもコントロールできないことが多く、周囲の人の理解が求められます。
うつ病ではなくほかの病気の可能性も
気分の落ち込みや意欲の低下が続く場合、必ずしも原因がうつ病とは限りません。似た症状を引き起こす別の病気が関係している可能性もあるため、慎重な判断が求められます。
例えば、以下のような病気が隠れている可能性があります。
身体疾患 | 精神疾患 |
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身体に生じた病気の影響で、うつ病と似た症状が出ることがあります。
中には重大な病気が隠れているケースもあるため、早めに病院を受診して詳しい検査をすることが大切です。
また、気分の落ち込みや意欲の低下は、適応障害や統合失調症といった他の精神疾患でも見られることのある症状です。
適応障害は、特定の環境で強いストレスを受けた時に発症することが多く、気分の落ち込みや不安感、食欲不振などの症状が見られます。
統合失調症は、気持ちや考えがまとまりにくくなったり、言動から一貫性が喪失したりなどの症状が代表的です。
このように、うつ病と見分けがつきにくい病気は複数存在します。精神的な不調が続いている場合、原因を正しく見極めるために、専門医の診察を受けることが大切です。
まとめ
うつ病は行動や表情に変化をもたらし、日常生活や人間関係に影響を与えます。会話が減り、感情の起伏が激しくなるほか、身だしなみに無頓着になることもあります。
表情にも無気力さや作り笑いといった特徴が表れるため、周囲が異変に気付くことが重要です。
うつ病に似た症状を引き起こす病気も存在するため、慎重な判断が求められます。気になる症状が続く場合は、早めに専門医の診察を受けましょう。
身近な人がうつ病の兆候を示していると感じたら、無理に励ましたり否定したりせず、寄り添う姿勢でいることが大切です。
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