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心の安定は「朝のタンパク質」から始まる

[2026.01.25]

日々、多くの患者様と向き合う中で、私は「心のセルフケア」として食事の重要性をお伝えしています。その中でも、本日のコラムはタンパク質の重要性を記載したいと思います。
健康に良い食事、となると塩分や糖質を制限したり、野菜を多く食べる、などがしばしばあると思いますが、多くの方がタンパク質の摂取量が足りていないといわれています。

特に、精神医学の観点から見て、「朝食でのタンパク質摂取」は、1日のメンタルコンディションを左右するほど大切です。

皆様、今日の朝食は何を食べましたでしょうか?

パン1枚だけ、ヨーグルトだけ、食べていない、などなどいろんな方がいらっしゃるかと思います。

メンタルヘルスにタンパク質が必要な理由

私たちの感情や睡眠をコントロールしているのは、脳内の「神経伝達物質」です。

セロトニン 心の安らぎや幸福感をもたらす(幸せホルモン)
メラトニン 質の良い睡眠を促す(睡眠ホルモン)
ドーパミン やる気や集中力を高める

実は、これらの物質を作る「材料」となるのが、タンパク質が分解されてできるアミノ酸(トリプトファンなど)なのです。

朝のタンパク質摂取が夜の眠りを作るメカニズム

特に、心を穏やかにする「セロトニン」は、朝に日光を浴び、しっかりタンパク質を摂ることで合成が始まります。そして、そのセロトニンが夜になると「メラトニン」に変化し、深い眠りへと導いてくれます。

メラトニン生成のロードマップ

メラトニンは脳内の「松果体」という場所で作られますが、その合成には決まったステップと時間が必要です。

  1. ステップ1:タンパク質の摂取
    食事からタンパク質を摂取し、必須アミノ酸の「トリプトファン」を取り込む。
  2. ステップ2:セロトニンの生成
    日光を浴びることで、トリプトファンが「セロトニン」に変化する。
  3. ステップ3:メラトニンの生成
    暗くなると、日中に蓄えられたセロトニンを材料にして、「メラトニン」が作られる。

朝食でタンパク質を摂る意味

セロトニンからメラトニンに切り替わるまでには、およそ 14〜16時間 かかると言われています。

  • 朝 8時にタンパク質を摂り、セロトニンを活性化させる。
  • 夜 22時〜24時頃、それらがメラトニンへと十分に変換され、自然な眠気がくる。

つまり、夜に「眠れないから」と慌てて対策をするよりも、朝の段階で「夜の眠りのための材料(タンパク質)」を仕込んでおくことが、生物学的なリズムに則った正しいアプローチなのです。

睡眠ホルモンであるメラトニンの原料は、実は日中に働くセロトニンです。朝にタンパク質という「種」をまくことで、夜に質の良い睡眠という「花」が咲く。これが脳の自然なサイクルなのです。 つまり、朝にタンパク質を食べないことは、その日の心の安定だけでなく、夜の睡眠の質まで下げてしまう可能性があるのです。


タンパク質の働きを助ける助酵素

タンパク質が体内でスムーズに利用され、神経伝達物質へと変換されるためには、実は「助っ人」となる栄養素が必要です。それが、ビタミンB6やマグネシウムといった「助酵素」です。

これらの栄養素は、まるで工場のラインで働く職人のように、タンパク質からセロトニンやドーパミンを作り出す化学反応を効率良く進める手助けをします。

ビタミンB6 肉、魚、バナナ、ナッツ類などに豊富
マグネシウム 海藻類、大豆製品、ナッツ類、緑黄色野菜などに豊富

タンパク質を摂る際は、これらの助酵素も意識して一緒に摂ることで、より効果的に心の安定と良質な睡眠へ繋げることができます。


忙しい朝でもできるタンパク質摂取の工夫

「朝は食欲がない」「時間がない」という方も多いかと思います。完璧を目指さず、まずは今の習慣に「足す」ことから始めてみましょう。

  1. 「+α」で手軽に補う
    • いつものトーストにチーズをのせる、または納豆を合わせる。
    • コンビニのゆで卵サラダチキンを活用する。
    • ギリシャヨーグルトなど、高タンパクな乳製品を選ぶ。
    • バナナを一緒に摂れば、ビタミンB6も補給できます。
  2. 飲むタンパク質を活用する
    • 食欲がない時は、豆乳プロテインだけでも効果的です。
    • 最近は市販のプロテインも飲みやすく、アミノ酸スコア(質の良さ)が高いものが増えています。
  3. 前日の「スライド」作戦
    • 夕食の残りの煮物や、茹でておいた鶏肉などを冷蔵庫に入れておき、朝は出すだけにする。
  4. 我が家での工夫
    朝はバタバタの中ですが、子供たちにたくさんのたんぱく質を食べてほしいため、いろいろな工夫をしています。トーストにきな粉+はちみつ、ごはんにちりめんじゃこをのせる、市販の温泉卵であればつるっと飲んでくれます。市販の豆腐ソーメンを出したりもします。毎日同じものではなくいろんな食材を試してみることも一つです。

院長からのアドバイス

メンタルの不調を感じている時、いきなり「前向きに考えよう」とするのは難しいものです。しかし、「材料(タンパク質)を入れて、脳の環境を整える」ことなら、今日から少しずつ取り組めます。

まずは、ゆで卵1個、納豆1パックから。 出来ることから無理なく始めてみましょう。

まとめ

今回は、精神医学的な観点から「タンパク質を摂ること」の重要性、そして朝食で手軽に栄養を補う工夫について解説いたしました。

ラベンダーメンタルクリニック浜松町は、浜松町駅から徒歩2分、大門駅B5出口直結の位置にある精神科・心療内科クリニックです。当院ではお薬による治療はもちろん、今回お伝えしたような食事・栄養面のアドバイスを含め、患者様の特性や症状に合わせたオーダーメイドの支援を院長や看護師がきめ細やかなアドバイスで提供いたします。「食事を整えたいけれど何から始めればいいか分からない」「お薬と栄養の組み合わせが気になる」といった不安をお持ちの方は、一度お気軽にご相談ください。

執筆者

ラベンダーメンタルクリニック浜松町 院長・医学博士
中野 和歌子

  • 日本精神神経学会精神科専門医・指導医
  • 精神保健指定医
  • 産業医科大学産業医学基本講座修了、日本医師会認定産業医
  • 日本臨床精神神経薬理学専門医(精神科薬物療法専門医)
  • 日本禁煙学会認定専門医
  • 臨床研修指導医
  • コンサータ処方医登録
  • セリンクロ処方医

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