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(睡眠障害)中途覚醒とは?

[2024.06.28]

 睡眠障害とは睡眠に関連した多種多様な病気の総称をいいます。睡眠障害には、不眠症、過眠症、睡眠時随伴症の分類があります。
睡眠障害のなかで最も多いのが、不眠症です。不眠症とは、その人の健康を維持するために必要な睡眠時間が、量的あるいは質的に低下し、そのために社会生活に支障をきたしたり、自覚的にも悩んでいる状態をいいます。
また、過眠症とは、日中に過剰な眠気がおきる状態をさします。仕事や学習など日常生活に支障をきたすような場合には、病的と考えられます。
睡眠時随伴症は、入眠の直前、睡眠中、または覚醒したときに起きる異常行動あるいは好ましくない体験 を特徴とする病気です。

不眠症は主に以下の4つに分けられます。

 ① 入眠障害:寝つきが悪い状態です。寝床に入ってから30分以上経過しても眠れない状況を言います。

 ② 中途覚醒: 一度は寝入ったものの、夜間に何度も目が覚めてしまう症状を指します。一晩で数回から十回以上目が覚めることもあります。

 ③ 早朝覚醒 :朝方4時や5時にに目が覚めてしまい、その後2度寝ができない状態を指します。

 ④ 熟眠障害: 睡眠時間は十分でも、熟睡感が得られず、日中に眠気を感じる症状です。

 今回は、②中途覚醒についてさらに詳しく説明したいと思います。

 ストレスがかかったりすると不眠症をきたし、また、様々な精神疾患には不眠症を併存することが多いです。

  寝つきは良いけど、途中で目が覚めることを中途覚醒と言います。高齢者は若いころに比べると眠りが浅くなり、中途覚醒が多くなります。これは加齢によって生じる生理的な変化であり、年齢相応の睡眠の質の低下は正常範囲の変化ですので、中途覚醒はあっても治療の対象では一般的にはありません。
 不眠症として治療の対象になる場合は以下のような場合です。

  • 眠ってもすぐに起きてしまう状態が一定期間続いている(週に3回以上が3か月以上持続する状態が目安になります)
  • 夜中に目覚めてしまうと再び眠りに入る事が難しい(再入眠困難)
  • これらによって自覚的に困っている、あるいは生活に支障が生じている

次に、中途覚醒になる要因をみていきましょう。

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を90~120分の周期で交互に繰り返します(睡眠サイクル)。

レム睡眠は浅い睡眠で、脳の活動と記憶力の向上に関係します。
ノンレム睡眠は深い睡眠で、脳の休息と成長ホルモンの分泌に関係しています。

睡眠サイクルは個人差があり、睡眠後半になるとレム睡眠の時間が長くなると言われています。

中途覚醒になる場合は、眠りが浅い状態、つまりレム睡眠の時に覚醒がしやすく、中途覚醒を生じます。

次に具体的な要因についてです。大きく3つあります。

1つ目は心理的な要因です。

心理的なストレスがかかると、深い睡眠が得られにくくなり、浅い睡眠が続き中途覚醒が多くなってきます。

2つ目は身体的な要因です。

夜間に排尿するために起きる時、呼吸器の感染症などで咳が続いて眠れな時、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群などもあげられます。

身体的な治療により改善することもありますので、原疾患の治療が可能であれば治療をしていくことを優先しましょう。

3つ目は睡眠に影響する内服薬や物質です。

 内科の内服薬や精神科の内服薬で睡眠に影響がある薬は多数あります。

 内科の内服薬であれば、抗生物質、ステロイド、降圧剤などが挙げられます。

 また、精神科の薬であれば、抗うつ剤を寝る前に内服することで睡眠に悪影響をきたすことがあります。抗うつ薬の種類にもよりますが、SSRIは夕食後に処方することが多いですが、お仕事などでお忙しい方は就寝前に実態として飲むことがあります。その場合、睡眠に悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

 アルコールも影響します。アルコールは鎮静効果があるため入眠はスムーズにするため、睡眠には良い影響をもたらすと考える方が多いです。特に飲酒習慣、晩酌の習慣があられるかたで、ストレスがかかると飲酒量が増えてしまったり、寝つきが悪くなることで、飲酒量が増えたり、眠れないから飲酒するという寝酒になる場合が非常に多いです。

 端的にいいますと、アルコールは睡眠へは悪影響を及ぼしますので、このような飲み方は控えていただければと思っています。

 アルコールはアセトアルデヒド、酢酸という風に体内で代謝されますが、アセトアルデヒドが身体にとっては不快な物質でいわゆる二日酔いとよばれるものの原因となっています。

 このアセトアルデヒドが睡眠中に脳内で刺激され、睡眠の質を深い睡眠→浅い睡眠へとしてしまい、睡眠の質をさげることが言われています。

 次に、喫煙も睡眠には悪影響を及ぼします。ニコチン自体が覚醒を促しますので深い睡眠を妨げます。

 また、よく知られていることですがカフェインも睡眠には悪影響を及ぼすため、摂取する時間は睡眠の前などは避けていただいた方が良いでしょう。

 最後に、改善方法についてです。

 単純に、睡眠薬を併用することで一時的には改善はしていきます。

 一方で、先ほど述べましたように、様々なことが要因となっていることもあり、その要因を検討していくこと、睡眠の質を下げている習慣などを少しずつ改善してくことが大事になります。

 睡眠は寝る直前の行動だけではなく、朝起きてから昼間の活動、その後の活動など1日全体の生活が大きくサイクルとして影響していきます。

 よく、眠れないからと言って睡眠薬がどんどん種類が増えていったという話を聞きますが、それでは改善しません。

 ある程度睡眠薬の力も必要ですが、それよりも睡眠衛生指導が重要になってきます。

 最近、睡眠のガイドラインが改定にはなりました。

 以下、厚生労働省が発表している、健康づくりのための睡眠ガイド 2023になります。 

 睡眠の改善について詳しく勉強したい、詳細をご覧いただきたい方はご参照ください。 
  
 健康づくりのための睡眠ガイド 2023 (mhlw.go.jp)

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