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大人のADHD(注意欠如・多動症)とは?生活の中でできる対策と治療

[2025.04.17]

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意や多動性、衝動性といった特性が見られる発達障害のひとつです。

子どものころに診断されることが多いものの、大人になってから気付くケースも少なくありません。

大人のADHDでは、仕事や人間関係で課題を抱えることがあり、適切な対処をしないと二次障害につながる可能性もあります。

この記事では、大人のADHDの特徴や生活の中で生じる困りごと、仕事への影響について解説します。

また、具体的な対処法や環境調整、働き方の見直しといった改善策についても紹介するため、ADHDに関する理解を深める参考になさってください。

ADHD(注意欠如・多動症)とは

ADHD(注意欠如・多動症/注意欠陥・多動性障害)は、不注意や多動性、衝動性を特徴とする発達障害のひとつです。

ADHDの症状は幼少期から見られることが多いですが、大人になってから診断されるケースもあります。特性による困難を軽減するためには、適切な理解と対応が重要です。

ここでは、ADHDの主な特徴について紹介します。

『不注意』の特徴

ADHDの特徴のひとつに『不注意』があり、集中力の持続が難しいことや忘れ物の多さなどが挙げられます。

例えば、以下のようなことが代表的です。

  • 会話中に注意が逸れやすい
  • 作業を最後までやり遂げられない
  • 必要な持ち物を忘れる
  • 細かいミスが多い など

このような特徴は仕事や学業にも影響を及ぼしやすいです。

また、指示を聞き逃す、整理整頓が苦手、期限を守るのが難しいといった問題も、不注意の特性に関連しています。

特に、計画を立てることや優先順位をつけることが苦手なため、業務が滞ることも考えられるでしょう。

『多動性・衝動性』の特徴

ADHDの特徴として、ほかにも『多動性』と『衝動性』が挙げられます。

多動性の特徴としては以下が代表的です。

  • じっとしているのが苦手
  • 必要のない場面でも動き回ってしまう など

大人の場合は、身体的な多動よりも考えが次々と浮かび落ち着かない、話しすぎるといった形で現れることがよくあります。

一方、衝動性の特徴としては以下が代表的です。

  • 思ったことをすぐに口にしてしまう
  • 順番を待つのが苦手 など

このような特徴により、場の空気を読まずに発言してしまい、人間関係に影響を及ぼすことも多いです。

また、計画を立てずに行動し、衝動買いや突発的な言動が増える傾向も見られます。

複数の特徴を併せ持つケースも

ADHDは自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(SLD)など、複数の特徴と併存するケースもあります。

以下の表でそれぞれの特徴についてまとめました。

タイプ 特徴
自閉スペクトラム症(ASD)を併存
  • コミュニケーションが苦手
  • こだわりが強い
  • 対人関係で誤解を受けやすい
限局性学習症(SLD)を併存
  • 読み書きや計算が極端に苦手
  • 学習面での困難が顕著

表はあくまで代表的な例であり、すべてのADHDや複数の特徴を併存している人にあてはまるわけではありません。あくまで参考としてご覧ください。

大人のADHDとは

ADHDは、子どものころに診断されることが多いですが、大人になってから気付くケースもあります。

大人のADHDは人間関係への影響や精神的な負担を生じさせるケースが少なくないため、特徴に対する理解やサポートが必要です。

ここでは、大人のADHDの特徴や影響、適した職業の例などについて紹介します。

大人のADHDの特徴

大人のADHDでは、不注意・多動性・衝動性の特性が見られますが、子どものころとは異なる形で現れることも珍しくありません。具体的には以下のような形で現れやすいです。

特徴 具体例
不注意
  • ・物を置いた場所を忘れやすい
  • スケジュール管理や時間の調整が苦手
  • 優先順位をつけるのが難しく、業務の抜け漏れが起こりやすい
  • 気が散りやすく、マルチタスクをこなすのが難しい
多動性
  • じっとしているのが苦手で、落ち着かない
  • 会話中に話を遮ってしまう
  • 頭の中で考えが次々と浮かび、集中しづらい
衝動性
  • 思ったことをすぐに口に出してしまう
  • 感情のコントロールが難しく、突然怒ることがある
  • 計画を立てずに買い物をすることがある(衝動買い)

このような特性が仕事や人間関係に影響を与えることもあり、ストレスの原因になることがあります。

二次障害につながるケースも

ADHDの特性が原因で日常生活や仕事に困難を抱え続けると、精神的な負担が大きくなり、二次障害を引き起こす可能性があります。

例えば、業務のミスが続くことで自信を失い、自己肯定感が低下することもあるでしょう。その結果、うつ病や不安障害を併発する恐れが生まれます。

周囲からの理解が得られず、『努力不足』や『怠けている』と誤解されることで、より深刻な心理的負担を抱えるケースもあるでしょう。

大人のADHDで見られる事例

大人のADHDでは、特性に応じたさまざまな行動パターンが見られます。

例えば、職場で業務の優先順位をつけるのが苦手なため、期限ギリギリまで作業を進められないことがあります。

話が脱線しやすかったり、重要なポイントを聞き逃してしまったりする時もあるでしょう。

また、片付けが苦手で、必要なものをすぐに見つけられないことも少なくありません。

これらの特性があることで、周囲との摩擦が増えやすく、対人関係のトラブルにつながるケースもあります。

一方で、ADHDの人は興味を持ったことに対して強い集中力を発揮する傾向があります。

そのため、クリエイティブな仕事やアイデアを生かせる分野では、強みを活かしやすくなります。

ADHDに向いている仕事・向いていない可能性がある仕事

ADHDの特性によって、向いている仕事と向いていない可能性がある仕事が異なります。強みを活かせる職種を選ぶことで、働きやすさが向上しやすくなるでしょう。

それぞれの表で向いている仕事・向いていない可能性がある仕事についてまとめました。参考のひとつとしてご覧ください。

向いている仕事 理由
クリエイティブ職 発想力を活かし、自由なアイデアを求められる職種
営業職・接客業 人との会話が多く、活動的な仕事で強みを発揮しやすい
技術職・専門職 興味のある分野に没頭しやすく、高い集中力を発揮できることがある

次に、以下で向いていない可能性がある仕事について見てみましょう。

向いていない可能性がある仕事 理由
ルーチン業務が多い仕事 同じ作業を繰り返すため、飽きやすく集中を維持しにくい
時間管理が厳しい仕事 緻密なスケジュール管理が求められ、ミスが許されない業務
マルチタスクが必要な仕事 一度に複数の業務をこなす必要があり、混乱しやすい

仕事の適性には個人差があるため、実際に働いてみないと判断が難しい場合もあります。職場の環境を調整しながら、自分に合った働き方を見つけることが大切です。

大人のADHDの対処法や環境調整による対策

大人のADHDの特性による困りごとを軽減するためには、具体的な対処法や環境調整がおすすめです。

ここでは、大人のADHDの対策として具体的な方法について紹介します。

自分の特性について理解する

ADHDの特性は人によって異なり、不注意が強く出る場合もあれば、多動性や衝動性が目立つ場合もあります。

まずは、自分の傾向を把握し、どのような場面で困難を感じやすいのかを振り返ることが大切です。例えば、時間管理が苦手な人は、スケジュールを可視化する工夫が必要になるでしょう。

また、ADHDは周囲の環境によって困難の度合いが変わるため、自分にとってストレスが少ない環境を見極めることも重要です。

集中力が途切れやすい場合は、静かな場所で作業をする、タスクを細かく分けて取り組むといった方法が役立ちます。

環境調整を試みる

ADHDの特性に合った環境を整えることで、日常生活や仕事の負担を軽減しやすくなります。

例えば、集中しやすい環境を作るためにデスク周りを整理し、必要なものだけを置くといった工夫が役立ちます。

職場では、作業をシンプルにし、タスク管理を明確にしてみましょう。

ToDoリストの活用や作業に優先順位をつけるなどの工夫は、業務の抜け漏れを防ぎやすくなります。

また、生活面でも環境を整えることで日々のストレスを減らせます。

家の中の物の定位置を決めれば忘れ物を減らしやすくなりますし、デジタルツールを活用してリマインダーを設定すれば、予定を忘れにくくなるでしょう。

苦手なことへの具体的な対策を練る

ADHDの人が苦手とする場面では、適切な対策を取ることで負担を軽減できます。以下の表に、主な困りごとと対応策の例を整理しました。

困りごと 対応策の例
忘れ物が多い 持ち物リストを作成し、外出前に確認する
集中力が続かない 作業時間と休憩時間を決め、メリハリをつける
期限を守るのが難しい 締切前にリマインダーを設定し、余裕を持たせる
計画的に行動できない 1日の流れをスケジュール化し、時間の使い方を整理する
仕事の優先順位をつけるのが苦手 タスク管理ツールを活用し、重要度を可視化する

対策を実施する際は、自分に合った方法を見つけ、無理のない範囲で継続していきましょう。

クリニックを受診し治療を行う

ADHDの症状が強く、日常生活に支障をきたしている場合は、クリニックを受診して専門的な治療を受けましょう。

代表的な治療は薬物療法と認知行動療法です。

薬物療法では、集中力を高めたり衝動性を抑えたりする薬を処方し、症状の緩和を目指します。

認知行動療法では、思考や行動のパターンを整理し、適切な対処法を身に付けることを目指します。

受診する際はADHDの診療経験が豊富な医療機関を選びましょう。

大人のADHDでは働き方の見直しの検討も

ADHDの特性により、一般雇用での働き方に困難を感じるのであれば、障害者雇用への変更も検討しましょう。

障害者雇用では、発達障害の特性に配慮した職場環境が整えられていることが多く、業務内容や働く時間に柔軟性が期待できる場合もあります。

ADHDの特性に合った仕事や環境を選び、能力を発揮しやすい働き方を目指しましょう。

大人のADHDかも?と思ったらどこに相談すればいい?

ADHDの特性による困難を感じた場合、専門の医療機関に相談することが重要です。主に以下のような相談先があります。

  • 精神科、心療内科
  • 発達障害に詳しいクリニック
  • 自治体の発達障害支援センター など

精神科や心療内科では、診察を通じて症状の評価を行い、必要に応じて治療やサポートの提案を受けられます。

また、発達障害に詳しいクリニックを選ぶと、より適切な診断や対応を期待できるでしょう。

受診を迷う場合は、自治体の発達障害支援センターなどの相談窓口を活用するのもおすすめです。

まとめ

大人のADHDは、日常生活や仕事に影響を及ぼす場合がありますが、適切な対処や環境の調整で負担を減らせます。

自身の特性を理解し、働き方を見直したり、医療機関に相談したりすることが大切です。

また、障害者雇用や障害年金などの制度を活用すれば、安定した生活を送りやすくなるでしょう。

ラベンダーメンタルクリニック浜松町では、大人のADHDで困りごとを感じる人の幅広い悩みをご相談いただけます。

日常生活や仕事の環境をよりよく改善したい、障害者雇用や年金について考えたいなど、大人のADHDに関するお悩みがあれば、お気軽にご連絡ください。

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