開院1年経過して(御礼、ご挨拶)
当院のホームページをご覧いただきありがとうございます。
2025年5月7日に開院して1年経過いたしました。
多くの患者様にご来院いただきましたこと、またご支援いただきました
関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。
開院1年目の節目に出来ることは何かと考えてみました。
患者様に還元することが一番良いのでは、、と考え、休診日の水曜日でしたが診療をいたしました。またご来院いただきました再来の患者様には、ノベルティーのお菓子を準備しています。順次、診療前後にお渡しさせていただいていますが、喜んでいただいて大変うれしく思っています。
当院での診療にあたり私自身が大切にしていることを改めて振り返ってみたいと思います。
1)医療を提供する側の心身の健康も大事にすること
当院は精神科、心療内科であり、心身の不調の改善を目的に受診されます。大きなライフイベントが重なったり、仕事の質的量的な負担が重なったり、人間関係のトラブルなどなど要因は様々です。患者様の治療をするにあたり、治療者側の心身の健康も大事であると切に感じています。医者の不養生とありますが、医療従事者は自己犠牲のもと、自身の心身の不調の察知は二の次になることが多いです。私自身もその傾向にありました。小さいころからとても頑張り屋さんで周囲の期待に添うように、ずっと頑張って走り続けてきたように思います。しかし約10年前に大きな病気を経験したことを契機に大きく人生観や仕事のスタンスが変化しました。その当時、大学に所属し留学といった貴重な経験もさせてもらい、お世話になった教授の退職の時期でもあり、後輩の指導など含めて医局に恩返しをしていく大事な時期ではありました。体調を最優先してアカデミックなことからは離れてしばらく、仕事をセーブすることにしました。突然のことであったため関係者の方には沢山ご迷惑をおかけしたことと思い申し訳なく思っています。キャリアを大きくシフトしたことに後悔が全くないわけではないですが、その一方で、私生活で得られたこともたくさんありました。この経験をもとに、自身や家族の健康を脅かしてまで行うことはないのかなと思いながら、無理のないように生活を送っています。この一年間、診療に大きな支障がなく過ごせたことに感謝しています。
2)患者様の立場にたって診療を行うこと
自身の病気を経験したことや、妊娠、出産を経たこと、また家族の病気等で患者側の立場にたつことがこの10年間はとても多かったです。患者側の立場になって多くの気づきがありました。治療を受ける際には医師の診察以外に病院までの通院の工程、待っている時間、終わった後の会計の時間、その後の薬局までの時間などなど長い複雑な工程があります。特に乳幼児を連れた病院受診は、待合で問診票を記載するだけでもとても負担になります。一方で大変な工程の中やっとたどり着いた受診の先で、医師やスタッフの方々に顔や名前を憶 えていただいていたり、病気以外の社会的な背景も加味して診療をしていただくととても安心して気持ちが楽になったこともたびたびありました。これらの自身の経験から、受診そのものが苦痛にならなないように、少しでもお気持ちが楽になればとの想いで運営を工夫しながら診療をしています。出来るだけ、待ち時間を少なくし、その工夫のために良いと思われるDXは積極的に取り入れています。また、狭い待合 室になりますがなるべくホッとできて退屈しないためにリラックスできる音楽を流したり、たくさんの本や雑誌を準備しています。
3) 適正な医療を行うこと
言葉にすると当たり前ですが、診断を行い治療をすることは精神科医療では困難を極めることも多いです。血液検査 などで可視化できることが少なく、不透明な中、医療者も手探りで行うこともあります。現在の一般的な医療で、一番良 いとされている方法としてガイドラインに沿って、また向精神薬等の添付文書に沿った当たり前の治療を行うことです。一方で、残念ながら転院されてこられた方には沢山の向精神薬が根拠もなく処方をされていたり、副作用があるにもかかわらず長期で処方が継続されていたりすることもたびたびあり、もう少しどうにかなったのではないか?と思う処方もたくさんありました。私自身の治療もはたから見るとそういった側面があることもあるかもしれません。常に今の治療は最適だろうか?など治療を見直しながら治療方針を患者様とともに決めていくことが大事であると思 っています。時には医学的に必要であるため、治療方針が患者様の意向とは沿わない側面を持ち、厳しいことを伝えていくこともあります。また当院で診断や治療を含めて対応が難しい場合は他の医療機関に転院を提案したり、検査の依頼をしたり、ご相談しながら治療を行っています。患者様自身も、治療方針等に疑問点があればご遠慮なくお尋ねいただければ幸いです。
小さいクリニックであり、当院でできる範囲のことは限られていますが、これまでの様々な経験をもとに今後も治療を行ってまいります。至らない点も多く、すべてのニーズに対応できているとは思いませんが、患者様の気持ちに寄り添ってスタッフ共々真摯に対応できればと思っています。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
院長 中野 和歌子