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睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックポイント

[2024.08.07]

 睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome:SAS)とは、寝ている間に無呼吸が生じる病気です。医学的には、10秒以上息が止まる状態を無呼吸といい、平均して1時間に5回以上、睡眠中に無呼吸が見られる場合はこの疾患と診断されます。

 SASは、上気道が狭くなることによって生じる閉塞性SASと、脳から呼吸をする指令が来なくなってしまうせいで生じる中枢性睡眠時無呼吸症候群の2種類に分類されます。ここでは頻度が多い閉塞性について説明を行っていきます。

 閉塞性の主な原因としては肥満が挙げられます。また痩せている方でも顎が小さいかたは要因となることが言われています。また飲酒や睡眠薬の使用による影響で舌の根元が落ち込む舌根沈などが挙げられます。また鼻炎などによって鼻づまりがある方も無呼吸を生じる要因となります。

SASを疑う症状としては以下になります。

  • 大きないびきを指摘されたことがある
  • 寝ているときに無呼吸を指摘されたことがある
  • 起床時の頭痛
  • 起床時の咽頭痛、口渇感
  • 日中の強い眠気
  • 夜間の頻尿
  • 日中の強い眠気やだるさを感じる
  • 20歳時より10㎏体重が増えた
  • 幼少時から鼻炎、鼻詰まりの症状がある
  • 血圧が高い

次に検査について説明します。

まずは簡易検査を行います。この検査では、主に鼻や口での呼吸の状態と血液中の酸素濃度を測定します。自宅への貸し出しが可能なため、スクリーニング検査として広く普及しています。

簡易検査でSASを指摘された場合は精密検査(ポリソムノグラフィー、PSG)を行うことを原則としています。精密検査では、呼吸状態や血液中の酸素濃度に加えて脳波や筋電図なども測定し、無呼吸の状態や睡眠の質への影響を調べます。PSGは通常入院で行われており、1泊ないしは2泊の入院が必要です。

1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数を無呼吸・低呼吸指数(AHI)といいますが、アプノモニター、PSGではAHIを測定し、SASの重症度を判定し病状に応じた適切な治療方針を提示することができるようになります。

次に治療についてです。

生活習慣の改善が基本となります。肥満の方は体重の減少、および飲酒の影響があると思われる方は飲酒の制限、睡眠薬を使用している場合は減薬や中止や影響が少ない薬剤への変更を検討します。軽・中等症の場合はマウスピースなどの口腔内装置を用いて治療を行う場合がありますが、重症の場合は持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行うことが多くなります。CPAPは人工呼吸器のような装置で、マスクを装着して持続的に空気圧をかけることによって上気道の閉塞を解除します。

 無呼吸が継続的に続くことで交感神経が活発化し、血圧が上昇することで高血圧をきたすこと、またはインスリンがうまく働かないことで血糖値が上昇し糖尿病につながることも言われています。さらに、昼間に眠気をきたすことで自動車事故などの原因などにもつながり社会的な重大な問題にもつながることにもなることがあります。

 日本におけるSAS患者は約500万人とされていますが、そのうち適切な治療につながっているのは約10%と言われています。この病気は治療によって劇的に改善することが多く、周りの人にいびきや無呼吸を指摘されたら早めに専門医療機関を受診することをおすすめします。診療科としては、呼吸器科、耳鼻科、心療内科・精神科で対応をしています。あるいは睡眠を専門とした医療機関もありますのでご相談してみると良いと思います。

 当院でも検査会社と連携して簡易検査、精密検査もご自宅検査を行っていただけることが可能です。疑わしい場合は一度、ご相談いただけたらと思います。当院における治療に関しては、生活指導や睡眠薬の調整、CPAPの導入になった場合は検査会社との連携と共に引き続き治療は可能です。マウスピースの作成や手術の適応となった場合は当院では対応が難しいため、近隣の歯科などの医療機関をご紹介いたします。

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